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前妻の子も相続人?生前対策で守る家族と財産の話

「父が亡くなったあと、知らないところから前妻との子どもが現れて…」
そんな相続トラブルの相談が、実は少なくありません。
相続の場面では、法律に基づいてすべての子どもに平等な権利が与えられます。たとえ長年疎遠だった前妻の子であっても、それは例外ではありません。
本コラムでは、前妻の子にも相続権がある理由や、連絡・協議の必要性、遺言や保険・贈与を使った対策までを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
相続を“争族”にしないために、事前の備えがいかに大切かを、ぜひ知っておいてください。
前妻の子にも相続権はある?基本を解説
結論から申し上げますと、前妻との間に生まれた子どもにも、法律上はっきりとした相続権があります。
日本の民法では、被相続人の子どもであれば、現在の家族構成にかかわらず、平等に相続人となることが定められています。つまり、前妻との子どもであっても、後妻との子どもと同じように相続に関与する権利があるのです。
たとえその子と長年会っていなかったとしても、法律上の親子関係がある限り、相続権は消えません。そのため、相続対策を考える際には「前妻の子がいるかどうか」という点を事前に把握しておくことが非常に重要です。
また、前妻の子がいることを知らなかったというケースでも、後に戸籍を確認して判明することがあります。このような事態にならないよう、あらかじめ相続人の確認を行い、誤解やトラブルの芽をつんでおくことが求められます。
相続手続きで前妻の子に連絡は必要か
はい、原則として前妻の子にも相続に関する連絡をする必要があります。
相続が発生した際には、相続人全員で遺産分割協議を行うことが法律で定められています。前妻の子どもが法定相続人に該当する以上、その人にも連絡をして話し合いに加わってもらう義務が生じます。
仮に連絡をしないまま、後妻やその子どもだけで手続きを進めてしまうと、その協議自体が無効となってしまう可能性があります。これにより、せっかくまとめた相続内容が白紙に戻るだけでなく、法的トラブルに発展してしまうこともあります。
そのため、前妻の子どもと疎遠であっても、戸籍や附票などの公的書類を活用して連絡先を調べ、適切に手続きを進めることが大切です。
遺産分割協議に前妻の子は必ず参加?
はい、法律上、前妻の子も遺産分割協議に参加しなければなりません。
遺産分割協議とは、法定相続人全員が集まり、遺産をどう分けるかを話し合う場です。仮に相続人の一人でも欠けた状態で協議を行ってしまった場合、その合意内容は法的に無効となる可能性があります。
これは、相続人の権利を保障するための非常に重要なルールです。たとえ前妻の子と関係が薄かったとしても、または一度も会ったことがなかったとしても、相続人である以上、その人の同意なくして遺産の分割は成立しません。
円滑な手続きを行うには、早めに全相続人の把握と連絡を行い、協議に向けて準備を進めることが望まれます。
遺言書があれば前妻の子を関与させない?
一部のケースでは、遺言書を作成することで前妻の子を手続きから外すことが可能です。
遺言書には法的な効力があり、その内容に従って財産の分配を行うことができます。そのため、遺言によって前妻の子には何も相続させないと明記されていれば、基本的にはそのとおりに手続きが進みます。
ただし、注意が必要なのが「遺留分」です。これは相続人に対して法律で保障されている最低限の取り分で、これを侵害すると、前妻の子から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
そのため、遺言書を作成する際には、遺留分の範囲を超えた指定は慎重に検討する必要があります。弁護士や専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
遺留分とは?前妻の子が請求できる権利
遺留分とは、相続人に法律で保障されている最低限の相続分のことです。
たとえば、遺言書で前妻の子には何も渡さないと書かれていた場合でも、一定の割合で財産を請求することが可能です。これが「遺留分侵害額請求」と呼ばれる手続きです。
子どもが相続人である場合、その遺留分は法定相続分の半分とされています。たとえば、本来であれば1/2の相続ができた立場なら、遺留分として1/4を請求することが可能です。
遺留分侵害額請求は、家庭裁判所での調停や訴訟に発展するケースもあるため、遺言書作成時には慎重に配慮する必要があります。
連絡が取れない前妻の子への対応方法
前妻の子と長年音信不通で、連絡が取れないというケースも少なくありません。
このような場合には、まず戸籍の附票を取得して現住所を調査することが基本となります。附票にはその人の住民票上の移動履歴が記載されており、手がかりになることが多いです。
現住所が判明したら、内容証明郵便などで正式な連絡を取ることが望ましいです。連絡が取れないからといって手続きを進めてしまうと、相続手続きが無効になるおそれがあります。
それでも居所が不明な場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるなど、法的手続きを活用することが必要になります。
前妻の子に相続させない3つの生前対策
前妻の子に相続させたくない場合には、生前からの対策が非常に重要です。
生前にどのような準備をしておくかで、相続時のトラブルの有無が大きく変わります。ここでは、特に有効とされる3つの方法をご紹介します。
それぞれの方法には長所と短所がありますので、目的に応じて組み合わせることも視野に入れましょう。
もっとも基本的かつ効果的な方法が、遺言書を作成することです。
遺言書があることで、自分の意志を明確に残すことができ、相続人間の混乱や争いを未然に防ぐことが可能になります。
たとえば「前妻の子には何も相続させない」と具体的に記載しておけば、原則としてそのとおりに手続きが行われます。ただし、遺留分の権利は保護されるため、そこを侵害しないよう注意が必要です。
また、遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」など種類があり、それぞれに法的効力や手続きが異なります。専門家と相談しながら、自分の意志が正しく実現できる形で作成しましょう。
もうひとつ有効な対策が、生前贈与を活用する方法です。
たとえば、自宅や預貯金などの財産を、相続が発生する前に後妻やその子に贈与することで、それらの財産は相続財産の対象外となります。
これにより、前妻の子がその財産を相続することはできなくなります。ただし、生前贈与が「特別受益」とみなされた場合、相続人間の取り分に影響を与える可能性があります。
また、生前贈与には贈与税の課税があるため、贈与の時期や金額にも注意が必要です。専門家のアドバイスを受けて、最適な方法を選択しましょう。
死因贈与もまた、相続を避けたい場合に有効な方法です。
これは、贈与者の死亡を条件として、受贈者に財産を渡す契約を指します。遺言とは異なり、契約としての性質が強く、双方の合意が必要になります。
死因贈与によって移転する財産は、原則として相続財産に含まれないため、前妻の子はその財産を相続することができません。
ただし、死因贈与も遺留分の対象となる場合がありますので、その点には注意が必要です。契約書をきちんと作成し、後日の紛争を避ける工夫が求められます。
生命保険を使った相続対策のメリット
生命保険を活用することも、有効な相続対策のひとつです。
生命保険金は、契約時に指定された受取人が直接受け取る財産であり、原則として遺産分割の対象にはなりません。
そのため、たとえば後妻やその子どもを保険金の受取人に指定しておけば、前妻の子の相続分に影響を与えることなく、スムーズに財産を移転することが可能です。
さらに、保険料を支払うことで現金や預貯金といった相続財産を減らすことにもつながり、結果的に遺留分の請求リスクを抑えることにもつながります。
生命保険は柔軟性が高く、契約方法や保障内容も多岐にわたるため、目的に応じたプランを専門家と一緒に検討することが大切です。
まとめ
前妻の子どもにも相続権があるという事実は、見落とされがちですが、相続トラブルを防ぐためには非常に重要なポイントです。実際には、遺産分割協議や遺留分の問題、連絡が取れない相続人への対応など、専門的な知識と慎重な手続きが求められます。
「うちには関係ない」と思っていた方ほど、思わぬ事態に備えて事前の対策が必要です。当事務所では、相続・遺言に関するご相談を初回無料で承っております。前妻の子の関与が心配な方や、生前の対策を検討されている方は、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士として、法律と実務の両面から、円満な相続の実現をサポートいたします。