初回相談無料!
相続人の仲が悪いなら必須|争いを防ぐ遺言書作成ガイド

「自分が亡くなった後、仲の悪い子供たちが遺産をめぐって争うのではないか…」 親として、これほど心苦しいことはないでしょう。財産を残すことで、かえって家族の絆を壊してしまう事態は、何としても避けたいものです。
この記事では、そのような最悪の事態を未然に防ぐための、最も確実で強力な方法である「遺言書」の作成について、相続専門の行政書士が分かりやすく解説します。遺言書とは、単なる財産の分配書ではありません。それは、ご自身の亡き後も家族の平穏を守るための、親が子に残せる最後の、そして最も力強い愛情表現なのです。
ポイントを押さえた「最強の遺言書」で、円満な相続を実現しましょう。
なぜ相続人の仲が悪いと問題になるのか?遺産分割協議の壁
遺言書がない場合、相続手続きは「遺産分割協議」という話し合いから始まります。実は、これが相続トラブルの最大の原因となるのです。
遺産分割協議は「相続人全員の合意」が必須
遺言書がない場合、誰がどの遺産をどれだけ相続するのかを、相続人全員で話し合って決める必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。
そして、この協議が法的に有効となるためには、相続人全員の署名と実印の押印がされた「遺産分割協議書」という書類を作成しなければなりません。相続人が何人いようと、たった一人でも納得せず署名・押印を拒否すれば、その瞬間に全ての手続きが凍結します。その結果、不動産の名義変更や銀行預金の解約・引き出しといった手続きが一切進まなくなり、財産は事実上、塩漬け状態になってしまうのです。
「話もしたくない」関係性が相続を停滞させる
相続人同士の仲が極端に悪く、「相手のことが気に入らない」「話もしたくない」という感情的な対立があると、そもそも話し合いのテーブルにつくことすら困難になります。
特に、ご両親のうちお一人が亡くなる「1次相続」では残された親が主導権を握ることでまとまりやすくても、その親も亡くなる「2次相続」ではトラブルが起こりやすくなります。なぜなら、「子供間を取り持つことのできる親が亡くなっている」ため、子供同士の剥き出しの感情がぶつかり合ってしまうからです。
遺言書がないことのリスク:仲が悪い相続で起こり得ること
では、遺言書がないまま相続が発生した場合、関係性の悪い相続人たちには具体的にどのようなリスクが待ち受けているのでしょうか。
- 手続きの完全な停滞
遺産分割協議が成立しないため、不動産の名義を相続人に変更したり、故人の銀行預金を解約して引き出したりすることが一切できなくなります。財産は法的に「相続人全員の共有財産」となりますが、誰も自由に動かせない「凍結状態」に陥ります。 - 高額な相続税のリスク
相続税の申告と納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。重要なのは、遺産分割協議がまとまらなくても、この期限は一切延長されないという点です。未分割のまま申告を行うと、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった大幅な税額軽減措置が適用できず、本来であれば払う必要のなかった高額な相続税を納めなければならなくなる可能性があります。 - 裁判所での泥沼化
当事者間の話し合いがどうにも進まない場合、最終的には家庭裁判所での調停や審判に移行することになります。そうなれば、解決までに多大な時間と費用がかかるだけでなく、家族間の対立は決定的となり、精神的にも大きなストレスを抱え込むことになります。
最も有効な対策は「遺言書」の作成
これらの深刻なリスクを回避するための最も有効な対策、それが「遺言書」です。
遺言書を作成する最大のメリットは、これまで述べてきた「遺産分割協議」そのものが不要になる点にあります。遺言書で指定された遺産の分け方は、法律上、相続人たちの意思よりも優先されます。
つまり、相続人同士が顔を合わせて話し合う必要がなくなり、争いの原因を根本から取り除くことができるのです。これは、揉める可能性が高い相続を防ぐための、最も確実な方法と言い切れます。
争いを防ぐための遺言書作成、4つの重要ポイント
ただし、単に遺言書を作成するだけでは不十分なケースもあります。特に相続人同士の仲が悪い場合には、後々のトラブル(争族)を避けるために、以下の4つのポイントを盛り込むことが極めて重要です。
ポイント1:遺言執行者に「第三者の専門家」を指定する
「遺言執行者」とは、遺言の内容を実現するために必要な手続き(預金の解約や不動産の名義変更など)を行う人のことです。
これは、第1章で述べた「話もしたくない」という膠着状態に対する直接的な解決策です。相続人の一人を執行者に指定すると、他の相続人から「一方に肩入れしている」と公平性を疑われ、新たなトラブルの原因になりかねません。そこで、公平中立な立場の専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)を遺言執行者に指定すれば、専門家が中立的な緩衝材となり、敵対的な直接のやり取りを一切不要にしてくれます。
実際の解決事例でも見られるように、専門家である遺言執行者は、まず中立な立場で全財産を調査し、その正確な報告書を相続人全員に提示します。この手続き上の透明性と公平性が、隠蔽やえこひいきといった疑念を封じ、感情的な対立を無力化する鍵となるのです。

ポイント2:「すべての財産」の行き先を明記する
遺言書を作成する際には、預貯金、不動産、株式、現金など、ご自身が保有するすべての財産について、誰に相続させるのかを漏れなく記載することが重要です。
もし遺言書に記載されていない財産が見つかった場合、その財産については、結局、相続人全員での遺産分割協議が必要になってしまいます。せっかく遺言書を用意したのに、新たな争いの火種を残してしまっては意味がありません。そのような事態を避けるためにも、財産の記載漏れがないよう注意しましょう。
ポイント3:相続人の「遺留分」を配慮する
「遺留分」とは、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子など)に法律で保障された、最低限の遺産の取り分のことです。
例えば、相続人が子供2人の場合、法律で定められた相続分(法定相続分)はそれぞれ1/2ずつです。遺留分はそのさらに半分、つまり各1/4となります。この遺留分を侵害する遺言書(例:「全財産を長男に相続させる」)も法的には有効ですが、財産を少なく受け取った相続人から「遺留分侵害額請求」をされる可能性があり、これが新たな争いの火種となり得ます。
そのため、あらかじめ各相続人の遺留分を考慮した内容にしておくことが、将来の紛争を予防する上で非常に有効です。法的な請求には時効もありますが、そもそも請求のきっかけを作らないことが、親としての最後の務めと言えるでしょう。
ポイント4:「付言事項」で親としての想いを伝える
遺言書には、法的な効力はありませんが、家族へのメッセージを残せる「付言事項」という項目があります。これを活用しない手はありません。
なぜこのような財産の分け方にしたのか、その理由を具体的に記しましょう。「遺産が分けにくい不動産だったため」といった事務的な理由だけでなく、「長男は自分の面倒を最後まで見てくれたから、感謝の気持ちです」といった、個人的で愛情のこもった想いを伝えることが重要です。
「これからも兄弟仲良くしてほしい」「遺産のことで争うことは望んでいない」といった親としての切なる願いを書き記すことで、財産を少なく受け取った相続人の不満を和らげ、内容に納得を促す効果が期待できます。
まとめ:揉めない相続の実現は、専門家への相談から
この記事の要点を改めて整理します。
- 相続人の仲が悪い場合、遺言書がなければ遺産分割協議が進まず、財産が凍結されるなど、相続手続きが停滞するリスクが非常に高い。
- 遺言書は、この遺産分割協議を不要にする最も有効な対策である。
- ただし、単に作成するだけでなく、「遺言執行者の指定」「全財産の記載」「遺留分への配慮」「付言事項」という4つのポイントを押さえることが、争いを防ぐ鍵となる。
これらの点をすべて考慮した、法的に不備のない遺言書を作成するには、専門的な知識が不可欠です。ご自身の亡き後、愛するご家族が財産をめぐって傷つけ合う姿など、誰も望んでいません。その想いを法的に確実な形にするのが、私たち専門家の役割です。円満な相続という「最後の贈り物」を残すため、ぜひ一度、そのお考えをお聞かせください。


