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相続人以外に遺産を渡すには?遺贈のメリットとリスクを徹底解説

「自分の財産を、将来この人に渡したい」──そう考えたことはありませんか?
遺言書を作成すれば、その思いを確実に実現することができます。中でも「遺贈(いぞう)」という制度を使えば、相続人以外の方や法人、さらにはまだ生まれていない子どもにまで財産を遺すことが可能です。
この記事では、遺贈の基本的な仕組みから、特定遺贈・包括遺贈の違い、注意すべき税金や遺留分のトラブルまで、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説しています。
遺言書の作成をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
遺贈とは?遺言書で実現できる財産の渡し方
遺贈とは、亡くなった方が遺言書によって財産を他人に渡す方法のことです。
遺言書に「この財産を誰に遺すか」を明記することで、希望通りの財産分配が実現できます。 相続人だけでなく、親族以外の知人や団体にも財産を遺すことが可能です。
相続とは異なり、遺贈は「自分の意思で渡す人を決められる」という点が特徴です。 遺言書がなければ、法定相続に従って自動的に財産が分配されるため、思い通りにならないケースもあります。
したがって、自分の意思を反映したい方にとって、遺贈は非常に有効な手段といえるでしょう。
相続人以外にも財産を渡せる
遺贈では、法定相続人ではない人にも財産を渡すことができます。
法定相続人とは、配偶者や子ども、親など、民法で定められた相続人のことです。 一方、遺贈では、友人や内縁の配偶者など、法定相続人でない人物にも自由に財産を与えられます。
たとえば、長年介護をしてくれた人や、恩のある団体などにも遺贈は可能です。
このように、法定相続の枠にとらわれずに感謝の気持ちを形にできるのが、遺贈の大きな魅力といえます。
胎児や法人にも遺贈できるケース
遺贈は、個人に限らず、胎児や法人にも行えます。
胎児への遺贈は、生まれてくることを前提とした「期待的権利」として認められており、生まれれば有効に成立します。 また、法人に対する遺贈も可能で、学校法人や公益法人などに財産を提供するケースも珍しくありません。
たとえば、特定の研究機関に寄付したいという思いを形にすることができます。 ただし、法人が遺贈を受け入れるためには、理事会の承認が必要な場合もあるため、事前に確認が必要です。
遺言書で指定できる内容とその自由度
「誰に」だけでなく「何を」も指定できる
遺言書では、誰にどの財産を遺すかを具体的に指定することができます。
たとえば「Aさんに不動産を」「Bさんに預金を」といった具合に、財産ごとに受取人を分けることも可能です。 このような方法を「特定遺贈」と呼びます。
一方、財産の種類を指定せず、一定割合で指定する「包括遺贈」も選択できます。 財産の内容に応じて柔軟に設計できる点が、遺言書の自由度の高さです。
財産の割合での指定も可能
遺言書では、「全財産の3分の1をCさんに」など、割合で指定することもできます。
このような分け方を「包括遺贈」といい、具体的な財産をひとつひとつ決める必要がありません。 包括遺贈を受けた人は、相続人と同等の権利や義務を持つことになります。
そのため、遺産分割協議に参加したり、債務も引き継いだりする必要があります。
包括遺贈は、遺言書を作成するうえで非常に柔軟な手段であり、財産全体の調整をしやすくなります。
特定遺贈とは?特定の財産を遺す方法
特定遺贈のメリットとデメリット
特定遺贈は、特定の財産を指定して渡す遺贈方法です。
たとえば「自宅の土地を長男に」「A銀行の預金を妹に」などと指定できます。 この方式の最大のメリットは、マイナスの財産(借金など)を避け、プラスの財産だけを渡せる点です。
ただし、遺贈先の財産の価値が変動する可能性や、遺留分の問題などもあるため、事前に整理が必要です。
明確な意図を持って設計することが重要となります。
借金を引き継がないことができる
特定遺贈では、原則として指定された財産のみを取得します。
つまり、借金などのマイナスの財産を受け継ぐ義務は生じません。 これは相続とは異なる重要なポイントです。
たとえば、債務超過のケースで一部の資産だけを渡したいと考える場合、特定遺贈を利用することで、受遺者(財産を受ける人)を債務から保護できます。
しかし、遺言の内容が不明確だと、解釈の相違によってトラブルになる可能性もあるため注意が必要です。
不動産を遺贈する際の税金に注意
特定遺贈によって不動産を受け取った場合、「不動産取得税」が課税されます。
これは、相続とは異なり、都道府県に対して支払う必要がある税金です。 税額は、土地や住宅家屋の場合固定資産税評価額の3%が基準となります。
一方、通常の相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税は非課税です。
この違いを理解しておかないと、思わぬ出費につながるため、遺贈する財産の種類には注意が必要です。
包括遺贈の特徴と注意点
包括遺贈は相続と同じような効果を持つ
包括遺贈を受けた人は、相続人とほぼ同じ立場となります。
財産を包括的に受け取るため、遺産分割協議に参加する権利があり、全体の財産構成に関心を持つ必要があります。 また、被相続人の死亡時点で所有していた財産全体が対象となるため、遺産の変動にも対応できます。
このように包括遺贈は、相続に近い柔軟性と責任を伴う制度です。
借金も引き継ぐのでリスクに注意
包括遺贈にはデメリットもあります。
そのひとつが、被相続人の借金などのマイナスの財産も引き継ぐ義務がある点です。 相続放棄の手続きと同様に、受け入れるかどうか慎重に判断する必要があります。
資産価値だけでなく、負債や未払い金の有無を確認しておくことが大切です。
包括遺贈を検討する際には、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
不動産取得税がかからない包括遺贈の利点
包括遺贈によって不動産を取得した場合、相続と同様に不動産取得税は課税されません。
これは特定遺贈との大きな違いであり、コスト面でのメリットといえます。 固定資産税評価額が高い不動産ほど、税額の差は大きくなります。
そのため、財産の性質によっては、包括遺贈を選ぶことで経済的な負担を軽減できる可能性があります。
遺贈と遺留分の関係に注意
遺留分とは?配偶者や子にある最低限の権利
遺留分とは、法律で保護されている最低限の相続分です。
配偶者、子、直系尊属(親など)には、一定割合の財産を請求する権利があります。 たとえば、配偶者と子がいる場合、法定相続分の半分が遺留分となります。
遺留分を無視した遺言書を作成すると、トラブルに発展する可能性があります。
遺留分を侵害した遺言書で起きるトラブル
遺留分を侵害する遺言書を作成した場合、遺留分をもつ人から「遺留分侵害額請求」がなされることがあります。
たとえば、全財産を第三者に遺贈した場合、子や配偶者が法的手段を取ることになり、遺贈が無効になる可能性もあります。
円満な相続を目指すなら、遺留分を十分に考慮した設計が必要です。
円満な遺言書作成のポイント
トラブルを防ぐには、事前に相続人と話し合い、遺留分に配慮した遺言書を作成することが大切です。
また、遺贈を希望する理由や思いを「付言事項」として遺言書に添えることで、相続人の理解を得やすくなります。
公平性と納得感のある内容が、円滑な遺産分割を実現します。
遺贈に条件を付けることは可能?
条件付き遺贈とはどういうものか
遺贈には、一定の条件を付けることも可能です。
たとえば「大学を卒業したら」「結婚したら」など、特定の行動を達成した場合に遺贈を受け取る形式があります。 これを「条件付き遺贈」と呼びます。
条件付き遺贈は、本人の希望をより具体的に反映できるメリットがあります。
条件の内容や注意点とは
条件付き遺贈を行う際は、条件があいまいにならないよう注意が必要です。
条件の内容が不明確だと、実際に実現されたかどうか判断が難しくなり、争いのもとになります。
「誰がどのように判断するのか」を明確に記載し、実現可能な条件にすることが大切です。
遺言書作成は専門家に相談しよう
自筆で書く際に起きがちなトラブル
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、形式不備により無効となるリスクもあります。
たとえば、日付の記載がなかったり、署名が不完全だったりすると、せっかくの遺言書が法的に効力を持たないこともあります。
内容が複雑な場合は特に、専門家のチェックが必要です。
行政書士や司法書士のサポートが安心
遺言書の作成には、行政書士や司法書士・弁護士のサポートを受けることで、正確性と法的有効性を担保できます。
相続人との調整、遺留分への配慮、遺贈財産の整理など、総合的な視点でアドバイスを受けることができます。
専門家に相談することで、想いを確実に遺すための準備が可能になります。
まとめ
遺言書は、ご自身の思いや希望を形にする大切な手段です。ですが、内容や形式に不備があると、かえってトラブルの原因になってしまうこともあります。
特に遺贈を含む遺言書は、法律的な知識や配慮が必要不可欠です。
当事務所では、遺言書の作成をはじめ、相続や遺贈に関するご相談を丁寧にお受けしております。
「どのように書けばよいか分からない」「家族が揉めないようにしたい」など、どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。