戸籍の附票と戸籍謄本の違いとは?使い分けや取得方法を紹介

相続手続きや不動産登記、パスポートの申請など、重要なライフイベントにおいて「戸籍謄本」や「戸籍の附票」といった書類が必要になることがあります。しかし、これらの書類が具体的に何を証明するもので、どのように違うのか、いざという時に戸惑ってしまう方も少なくありません。

この記事では、「戸籍謄本」と「戸籍の附票」の基本的な役割から、それぞれの決定的な違い、具体的な使い分け、そして正しい取得方法まで、網羅的に分かりやすく解説します。

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目次

そもそも戸籍謄本と戸籍の附票とは?

まず、それぞれの書類が持つ基本的な役割を理解することが重要です。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは

戸籍謄本(こせきとうほん)とは、一つの戸籍に記載されている方全員の身分関係(出生、婚姻、離婚、死亡、親子関係など)を公的に証明する書類です。その主な目的は、個人の身元や親族関係を証明することにあります。

重要な点として、戸籍謄本には、本籍地は記載されますが、現在や過去の住所に関する情報は一切記載されません。

なお、現在では多くの自治体で戸籍がコンピュータ化されており、コンピュータ化された戸籍から発行される証明書の正式名称は「戸籍全部事項証明書」といいます。従来の「戸籍謄本」と証明内容は同じものです。

戸籍の附票とは

戸籍の附票(こせきのふひょう)とは、本籍地の市区町村で戸籍と一緒に管理されている書類です。これは、戸籍と住民票の情報を紐付ける役割を果たし、その戸籍が作られてから除籍されるまでの住所の変遷を公的に証明する書類です。

つまり、過去の住所の履歴を公的に証明したい場合に必要となるのが、この戸籍の附票です。

【一覧表で比較】戸籍の附票と戸籍謄本の決定的な違い

二つの書類の違いを一覧表にまとめました。

項目戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)戸籍の附票の写し
主な証明内容個人の身分関係(出生、婚姻、死亡、親子関係など)住所の履歴(住民票の移り変わり)
住所の記載なしあり
身分関係の記載ありなし
取得場所本籍地の市区町村本籍地の市区町村
手数料の目安1通450円(除籍・改製原戸籍は750円)1通300円~350円

具体的にどんなときに必要?戸籍謄本と戸籍の附票の使い分け

それぞれの書類は、証明する内容が異なるため、必要となる場面も明確に分かれています。

戸籍謄本が必要になる主なケース

身分関係や親族関係の証明が求められる、以下のような手続きで必要となります。

  • 相続手続き:亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をたどり、法的に誰が相続人になるのかを確定させるために必須です。
  • パスポートの申請・更新:身元や本籍地を証明するために提出します。
  • 婚姻届や離婚届の提出:現在の戸籍情報を証明するために必要となる場合があります。
  • 生命保険金の請求:受取人が正当な親族であることを証明するために使われます。
  • 年金の受給手続き:本人や家族関係を確認するために提出を求められます。

戸籍の附票が必要になる主なケース

住所の履歴を証明する必要がある、以下のような手続きで活躍します。

  • 不動産登記の名義変更:登記簿に記載されている所有者の住所が古く、亡くなった時の最終住所と異なる場合に、住所の変遷を証明するために必要です。
  • 自動車の車検証の名義変更や廃車手続き:車検証に記載されている所有者の住所と現住所が異なる場合に、その間の住所のつながりを証明するために利用されます。
  • 相続人の住所が不明な場合:遺産分割協議などで連絡を取りたい相続人の現在の住所が分からない時に、戸籍の附票で住所をたどって現住所を特定することができます。

戸籍謄本と戸籍の附票の取得方法

どちらの書類も基本的な取得方法は同じです。

どこで取得できる?

戸籍謄本と戸籍の附票は、どちらもその人の本籍地がある市区町村役場で請求します。現在の住所地の役所では取得できないので注意が必要です(現住所と本籍地が同じ場合は除く)。

なお、令和6年3月1日から戸籍の「広域交付」制度が始まり、戸籍謄本については本籍地以外の市区町村窓口でも取得できるようになりました。ただし、この広域交付制度は戸籍の附票には対応していませんので、附票は従来通り本籍地の役所で取得する必要があります。

誰が請求できる?

請求できるのは、原則として以下の人に限られます。

  1. 戸籍に記載されている本人、その配偶者
  2. 直系尊属(父母、祖父母など)または直系卑属(子、孫など)
  3. 代理人(本人や直系親族からの委任状が必要)
  4. 正当な理由がある第三者(弁護士、司法書士、行政書士などの専門家)

※注意:兄弟姉妹は直系親族ではないため、婚姻などで独立した戸籍を持っている兄弟姉妹の証明書を請求する際は、本人からの委任状が原則として必要です。

請求に必要なものは?

請求の前提として、対象戸籍の正確な「本籍地」と「筆頭者氏名」が必須です。 これが不明な場合、何も請求できません。まずはご自身の住民票を「本籍・筆頭者記載あり」で取得し、正確な情報を確認することから始めてください。

役所の窓口で直接請求する場合、一般的に以下のものが必要です。

  • 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
  • 手数料:現金または自治体が指定する方法で支払います。
  • 請求書:窓口に備え付けられています。
  • 委任状:代理人が請求する場合に必要です。

遠方の場合の取得方法

本籍地が遠方で直接窓口に行けない場合は、以下の方法で取得できます。

  • 郵送請求:多くの自治体で対応しています。市区町村のホームページから請求書をダウンロードし、必要事項を記入の上、「本人確認書類のコピー」「手数料分の定額小為替(郵便局で購入)」「切手を貼った返信用封筒」を同封して本籍地の役所に郵送します。
  • コンビニ交付:マイナンバーカードをお持ちであれば、全国のコンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で取得できる場合があります。ただし、対応している自治体や取得できる証明書の種類が限られるため、事前に本籍地の自治体のホームページなどで確認が必要です。
  • 相続手続きで戸籍を集める際は、まず死亡時の戸籍から取得し、そこから過去に遡って一つずつ請求していくのが基本です。
  • 郵送請求は往復で1〜2週間かかることもあります。相続手続きには期限があるものも多いので、戸籍の収集は早めに着手しましょう。
  • 請求書の「使用目的」欄は「相続手続きのため、被相続人〇〇の出生から死亡までの一連の戸籍が必要」などと具体的に記載すると、役所の担当者も必要な書類を推測しやすくなります。
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知っておきたい注意点と関連用語

戸籍や附票を取得する際には、いくつかの専門用語と注意点を理解しておくことが不可欠です。

【重要】住所履歴を遡る際の注意点:転籍と改製を理解する

相続などで故人の古い住所履歴を証明する場合、1通の戸籍の附票だけでは足りないことがほとんどです。人生の途中で本籍地を移す「転籍(てんせき)」や、役所が戸籍をコンピュータ化する「改製(かいせい)」があると、附票の記録もそこで一旦途切れるためです。

完全な住所履歴を証明するには、現在の戸籍の附票からスタートし、記載内容を読んで過去の本籍地を特定し、その役所へ古い附票を請求する…という作業を繰り返す必要があります。これはまさに、紙の記録を頼りに、市区町村をまたいで過去へ遡っていく作業なのです。

本籍を移す(転籍)と附票はどうなる?

本籍地を他の市区町村へ移すこと(転籍)をすると、新しい本籍地で新しい戸籍と新しい戸籍の附票が作られます。この新しい附票には、転籍した日以降の住所履歴しか記載されません。

もし転籍前の住所履歴が必要な場合は、転籍前の本籍地があった市区町村役場に対して、「除かれた戸籍の附票」(除附票)を請求する必要があります。

戸籍のコンピュータ化(改製)の影響

多くの自治体では、平成時代に戸籍簿を紙からデータに作り替える「コンピュータ化(改製)」を行いました。この改製に伴い、戸籍の附票も新しく作り替えられています。

改製後の戸籍謄本には、改製時点ですでに婚姻や死亡により戸籍から除かれていた方は原則として記載されません。同様に、改製後の附票には、改製後の住所履歴しか記録されません。改製前の情報が必要な場合は、それぞれ「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」や「改製原附票(かいせいげんふひょう)」という古い様式のものを別途請求する必要があります。

注意点として、法改正前の保存期間は5年だったため、自治体によっては平成時代のコンピュータ化以前の附票(改製原附票)がすでに廃棄されており、物理的に取得不可能なケースが頻繁にあります。これにより、特定の期間の住所履歴を証明することが困難になる場合があります。(現在は150年に延長)

【具体例で理解する】相続で住所履歴を追うケース

故・田中太郎さんの不動産登記簿上の住所が「A市」のままで、最終住所が「C市」だったとします。

  1. まず、最後の本籍地「C市」で「戸籍の附票」を取得。これにはB市から転籍してきた後の住所履歴しか載っていません。
  2. 戸籍謄本から、田中さんが結婚を機にB市からC市へ転籍したことが判明。次に、転籍前の本籍地「B市」に「除かれた戸籍の附票」を請求します。
  3. B市の附票を見ると、A市から転入した記録はあるものの、それ以前がありません。戸籍を確認すると、B市が平成20年に戸籍をコンピュータ化(改製)していることが分かりました。
  4. そこで、再度「B市」に「改製原附票」を請求。これでようやく、登記簿上の住所である「A市」から始まる全住所履歴が繋がり、登記手続きに利用できます。

謄本と抄本の違い

  • 謄本(全部事項証明書):戸籍に記載されている全員分の情報を写したものです。
  • 抄本(個人事項証明書):戸籍に記載されている人のうち、特定の一人または複数人分の情報だけを抜き出して写したものです。

相続手続きのように、戸籍に記載されている全員の身分関係を確認する必要がある場合は、必ず**謄本(全部事項証明書)**を取得します。

除籍謄本と改製原戸籍謄本とは

  • 除籍謄本(じょせきとうほん):戸籍に記載されていた全員が、婚姻、死亡、転籍などによっていなくなり、誰も在籍しなくなった戸籍の写しです。
  • 改製原戸籍謄本:法律の改正(主にコンピュータ化)によって、様式が変更される前の古い戸籍の写しです。相続手続きでは、被相続人の出生までさかのぼるために必要不可欠です。

まとめ

最後に、この記事の最も重要なポイントをもう一度確認しましょう。

  • 戸籍謄本は「身分関係」を証明する書類
  • 戸籍の附票は「住所の履歴」を証明する書類

この二つの違いを理解することが、手続きをスムーズに進めるための第一歩です。どちらの書類も本籍地の市区町村で取得しますが、使用目的は全く異なります。

ご自身の手続きでどちらの書類が必要なのかを事前に提出先へ確認し、間違いのないように準備を進めることで、時間と手間を大幅に節約できます。

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