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定額小為替(ていがくこがわせ)

相続手続きという慣れない作業の中で、多くの人が最初にぶつかる壁が「定額小為替(ていがくこがわせ)」の存在です。
役所から届いた案内やWebサイトに「手数料は定額小為替で同封してください」と書かれていても、「名前は聞いたことがあるけれど、どこで買えばいいの?」「書き方は?」と戸惑ってしまう方は少なくありません。実はこの小さな紙切れ一枚が、遠方の戸籍謄本を取り寄せたり、複雑な相続調査を進めたりする上で、現代の日本において欠かせない「決済の手段」となっています。
本記事では、相続実務の現場で頻繁に登場する定額小為替について、その基礎知識から賢い買い方、そして手続きを停滞させないための意外な注意点まで、分かりやすく解説します。
1. 定額小為替(ていがくこがわせ)とは
定額小為替(正式名称:定額小為替証書)とは、ゆうちょ銀行が発行する「現金を証書に換えて送金する」ための決済手段です。
日本では現金を普通郵便で送ることが法律で禁じられており、現金送付には必ず「現金書留」を利用しなければなりません。しかし、数百円の手数料を送るために数百円の書留料金を支払うのは、経済的な合理性に欠けます。そこで、普通郵便の封筒に同封できる「通貨代用証券」として、重要な役割を果たしています。
定額小為替の基本
定額小為替は、あらかじめ額面が印刷された12種類の証書として発行されます。
- 発行元:ゆうちょ銀行(全国の郵便局貯金窓口)
- 法的性格:現金の代わりとなる証券(通貨代用証券)
- 金種(全12種類): 50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1,000円
主な利用シーン
実務上、この証書が必要となる場面は、主に以下の3点に集約されます。
- 戸籍謄本・住民票の郵送請求:遠方の自治体から書類を取り寄せる際、ほぼ全ての自治体で「手数料は定額小為替で」と指定されています。
- 公的資格の受験料・検定料:郵送による願書提出時に、現金代わりの支払い手段として用いられます。
- キャッシュバックキャンペーン:メーカーが顧客へ少額を返金する際、現金書留よりも安価な手段として活用されます。
2. 定額小為替の購入方法と注意点
定額小為替の購入には、注意しなければならない点がいくつかあります。
購入場所と営業時間の制約
定額小為替は、郵便局(ゆうちょ銀行)の貯金窓口のみで購入可能です。
- コンビニでは購入不可:切手や収入印紙と異なり、コンビニには一切置いていません。
- 16時までの壁:貯金窓口の営業時間は原則として平日の16時までです。郵便窓口(ゆうゆう窓口含む)や土日祝日は取り扱っていません。
購入手数料がある
最大の注意点は、その手数料です。現在、定額小為替は額面に関わらず、証書1枚につき一律200円(税込)の手数料がかかります。50円の証書を買うのに200円の手数料を払う(計250円)ことになります。
手数料計算のシミュレーション(例:800円分を送る場合)
送りたい金額に対し、発行枚数をいかに抑えるかがコスト削減の鍵です。
| 組み合わせ例 | 証書の内訳 | 枚数 | 手数料合計 | 総支払額 |
|---|---|---|---|---|
| 賢い組み合わせ | 500円+300円 | 2枚 | 400円 | 1,200円 |
| 非効率な例 | 100円×8枚 | 8枚 | 1,600円 | 2,400円 |
購入手続きに必要なもの
窓口では以下の準備が必要です。
- 定額小為替振出請求書:窓口備え付けの用紙に、氏名・住所・必要な金種を記入します。
- 本人確認書類:合計金額が10万円を超える場合に必要です。
- 事前連絡:同一金種を100枚以上購入する場合は、在庫確保のため事前の電話連絡がマナーです。
3. 証書の書き方と取り扱い
定額小為替には「指定受取人」などの記入欄があります。
自治体・役所へ送る場合は未記入にする
戸籍謄本の請求などで役所に送る場合、「指定受取人欄」などは一切何も書かない(未記入)で送るのが実務上の正解です。 理由は、役所側の事務効率にあります。記入ミスや誤字が1文字でもあると、役所は金融機関で換金できなくなり、申請者に「証書の再送付」を依頼せざるを得ません。これが原因で手続きが1週間遅れれば、相続税の申告期限が迫っている場合などは致命傷になります。そのため、多くの自治体は「未記入」での送付を強く求めています。
個人に送る場合や特定の指示がある場合は、表面の「指定受取人」欄に相手の氏名を記入します。
物理的な取り扱い注意点:機械処理のリスク
定額小為替は、最終的にゆうちょ銀行の機械で読み取られます。以下の点に注意してください。
- 切り取り線を切り離さない:証書と「払渡票」が繋がった状態で初めて有効です。
- MICR線(下部の数字)を保護する:証書下部には磁気インクで数字が印字されています。ここに深い折り目をつけたり、ホチキスで穴を開けたりすると、機械が読み取れず換金不可となる恐れがあります。
4. 相続実務における定額小為替の活用術
相続手続で戸籍を郵送請求する場合は、定額小為替が必要です。被相続人の出生から戸籍を調べる場合、戸籍が何通出てくるか分からない場合もあります。定額小為替が何枚必要になるかが思案のしどころです。
戸籍手数料の相場
- 現在戸籍(全部事項証明など):450円
- 除籍・改製原戸籍:750円
- 戸籍の附票・住民票:300円前後(200円〜450円と自治体により差がある)
「450円+750円」の組み合わせが定番
相続手続きでは、役所に請求して初めて「実は以前の戸籍がもう一冊あった」と判明することが常です。この際、450円と750円の証書を予備として組み合わせて多めに同封するのが実務上のテクニックです。 ただ、地方自治法施行令第156条の趣旨に基づき、「おつりの出ない納付」を強く求める自治体が増えています。あまりに多すぎる金額(例:450円の請求に1,000円×5枚など)を送ると、返送・拒否されるリスクもあります。
6. よくある質問
定額小為替は、現代における「確実な事務手続き」のための、いわばインフラです。
Q&A
- 土日に買う方法は本当にないのですか?
-
ありません。平日の16時までに銀行へ行けない場合は、家族に代理購入を依頼するか、我々のような専門家に手続きを丸ごと依頼することを検討してください。
- コンビニの代替手段(Amazonギフト券等)は使えませんか?
-
残念ですが使えません。公的な支払いにおいて「通貨代用証券」として認められているのは、定額小為替や普通為替のみです。
- 間違えて記入してしまったら?
-
修正ペンや二重線での訂正は金融機関で拒否されます。200円払って再発行するしかありません。記入前の「未記入」確認が鉄則です。
まとめ
相続手続きでは、戸籍収集や郵送請求といった一見単純に見える作業が、実は多くの時間と神経を要します。定額小為替の購入、金種の組み合わせ、証書の取り扱い――どれか一つでも誤ると、書類の返送や手続きの遅延につながりかねません。特に相続では、「知らなかった」「間違えた」がそのまま手続き停滞の原因になります。
もし、仕事や生活の合間にこれらの作業を行うことが負担に感じられる場合は、専門家への依頼も有効な選択肢です。行政書士へご依頼いただければ、戸籍収集から必要書類の整備、細かな実務対応まで一括して進めることが可能です。
弊所では、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書の作成、銀行口座解約等までワンストップで行います。是非依頼をご検討下さい。


