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相続で困らない!不動産の評価方法を徹底解説

相続した不動産の価格は、遺産分割や相続税の申告に大きく関わる重要なポイントです。しかし、「どのように評価すればよいのか分からない」「相続人間での分け方に悩んでいる」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、法律的な側面と税務的な側面の両方から、不動産の評価方法をわかりやすく解説しています。不動産鑑定や税務申告に必要な計算方法、さらに実務で使える概算評価の出し方まで詳しくご紹介しています。
相続に関する不安や疑問を解消し、円滑な手続きを進めるためのヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
相続した不動産の価格はどう決める?
相続した不動産の価格を決めるには、法律的な側面と税務的な側面の両方を考慮する必要があります。単に不動産の価値を知るだけでなく、遺産分割や相続税の計算に影響するためです。
たとえば、相続人の間で財産をどう分けるかを話し合う場面では、価格の算出が欠かせません。また、相続税を申告する際には、国が定めた評価方法を使って正確に計算する必要があります。
この記事では、不動産の価格をどのように算出するのか、具体的な評価方法や注意点を詳しく解説していきます。
相続人が複数いる場合の不動産評価とは?
相続人が複数いる場合、不動産などの財産をどう分けるか話し合う必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。
その際、不動産の価格がわからないまま協議を進めると、公平な分割ができなくなるおそれがあります。誰がどの財産を受け取るかを決めるためには、それぞれの財産の価値を把握しておくことが大切です。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。ですから、価格の算出方法も皆が納得できる形で行う必要があります。
法律的側面から見た不動産の評価方法
不動産の価格は相続人の合意で自由に決定できる
相続における不動産の評価は、相続人全員の合意があれば自由に決められます。法律で厳格な価格決定方法が定められているわけではありません。
これは、不動産の価格には様々な算出方法があり、固定した基準が存在しないからです。たとえば、ある相続人が不動産を、別の相続人が現金を受け取る場合など、柔軟な分割が可能となります。
ただし、全員の納得を得るためには、ある程度の基準や根拠が必要です。合意形成の土台として、適切な評価方法を用いることが望まれます。
法定相続分どおりに分ける必要はない
法律上、相続人には「法定相続分」がありますが、必ずしもその通りに分けなければならないわけではありません。
相続人同士が合意していれば、法定相続分と異なる割合や種類で財産を分けることができます。たとえば、子どもが2人いて本来は半分ずつ相続する場合でも、一方が全ての不動産を相続し、他方が現金などを受け取るという分け方も可能です。
重要なのは、全員が納得していることです。これにより、柔軟で実情に合った分割が実現できます。
平等な遺産分割に必要な価格算出の重要性
公平な遺産分割を行うためには、不動産の正確な評価が欠かせません。価値があいまいなままだと、後々トラブルの原因になる可能性があります。
特に、不動産と現金、株式など異なる種類の財産が混在している場合、それぞれの価値を明確にしないと不公平感が生じがちです。
したがって、評価方法を事前に検討し、客観的なデータをもとに話し合いを進めることが大切です。
相続不動産の主な評価方法と特徴
最も正確な不動産評価方法は、不動産鑑定士による「鑑定評価」です。これは専門家が現地調査や市場分析をもとに価格を算出する方法です。
裁判所での遺産分割調停など、公的な手続きでもよく使われています。ただし、費用が高く、数十万円かかることが一般的です。
正確な評価が必要な場合に有効ですが、費用と手間がかかる点には注意が必要です。
市区町村から毎年5月ごろに送付される納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」も、不動産の評価に利用できます。
手軽で明確な数値が使えるメリットがありますが、実際の取引価格(実勢価格)より低く評価される傾向があります。
そのため、現金や株式など他の資産と比較する場合には、差が生じる可能性がある点を考慮しましょう。
「路線価」とは、国税庁が毎年公表している、道路に面した土地の1㎡あたりの価格です。
評価したい土地が接している道路の価格に、その土地の面積を掛けて計算します。土地の形状や奥行・間口の長さなどで補正が必要な場合もあります。
路線価が設定されていない地域では、代わりに「評価倍率表」によって価格を出すことも可能です。
不動産会社に査定を依頼することで、実際の売買価格に近い「実勢価格」で評価することができます。
現金や株式などの資産との比較を行いたい場合には、この方法が有効です。ただし、売却を前提としない場合は、業者に査定を依頼するのは避けたほうが良いでしょう。
不動産会社がよく使う「無料査定いたします」という言葉は、実は特別なことではなく、ごく一般的なサービスです。
そもそも「査定」と「鑑定」は意味が異なります。
「査定」は、不動産会社が売却の目安となる価格を出すためのもので、基本的に無料です。
一方、「鑑定」は不動産の資産価値を専門的に評価するもので、有資格者である不動産鑑定士にしか行えず、通常は有料です。
つまり、不動産会社の「無料査定」は「当然のサービス」と言えるのです。
相続税の申告に必要な評価方法とは?
相続税の申告を行う場合は、法律で定められた評価方法を用いる必要があります。自由に評価額を決めることはできません。
具体的には、土地は「路線価(相続税路線価)」、建物は「固定資産税評価額」を使って評価します。これらの方法に基づいて財産額を計算し、相続税の金額を決定することになります。
評価方法を間違えると、税務署からの指摘を受ける可能性もありますので、注意が必要です。
税務的側面で使われる不動産の評価基準
土地の評価は路線価で行う
土地は、国税庁が定めた「路線価(相続税路線価)」に基づいて評価します。路線価は毎年7月ごろに公表されます。
形状や接道の状況、借地権の有無などにより補正が必要な場合もあるため、計算は専門的です。
正確な申告を行うためには、税理士など専門家のサポートを受けるのが安心です。
建物の評価には固定資産税評価額を使用
建物については、納税通知書に記載されている固定資産税評価額を使って評価します。
金額が明確に示されており、評価の手間が少ないのが特徴です。特別な事情がない限り、この金額をそのまま相続税の評価額として利用します。
評価が難しい場合は税理士への依頼が安心
土地の形状が複雑だったり、借地権がある場合などは、正確な評価が難しくなります。そのようなときは、無理に自己判断せず、税理士に依頼することをおすすめします。
税理士は、申告内容が正しいかどうかを確認し、後のトラブルを防ぐ役割も果たします。
相続税がかかるかを概算で知る方法
相続税が発生するかどうかを事前に知るには、土地の概算評価額を求める簡単な計算式があります。以下の手順でおおよその金額を把握することが可能です。
まず、土地の固定資産税評価額を 0.7 で割ります。
概算実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7
次に、その概算実勢価格に 0.8 を掛けます。
概算路線価 = 概算実勢価格 × 0.8
たとえば、固定資産税評価額が 1,000万円だった場合、
概算実勢価格 = 1,000万円 ÷ 0.7 ≒ 1,428万円
概算路線価 = 1,428万円 × 0.8 ≒ 1,142万円
このように、誰でも手軽におおよその土地評価額を算出できます。
この方法は、税理士も申告の要否を検討する際に使う一般的な手法です。本格的な申告の前に試してみると良いでしょう。
相続不動産の評価で失敗しないために
相続不動産の評価には、法律的な自由度と税務的な厳格さという、二つの側面があります。
遺産分割では合意を重視し、相続税申告では正確さを求められます。どちらも適切に対処しなければ、後々のトラブルや余計な負担につながります。
不安がある場合は、税理士や不動産鑑定士などの専門家に早めに相談することが、失敗しないための第一歩です。
なお、当事務所は不動産会社を併設しており、不動産の無料価格査定を行っています。
相続手続きに不動産が含まれている方や、価格算出にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
行政書士と不動産の専門家が連携し、スムーズかつ的確な相続サポートをご提供いたします。