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エンディングノート: 家族を助ける書き方と項目一覧

終活(しゅうかつ)への関心が高まる中、自分にもしものことがあった場合に備え、家族に想いや情報を伝える「エンディングノート(終活ノート)」を準備する方が増えています。
しかし、いざ書こうと思っても「何から書けばいいのか」「どんな項目が必要なのか」と迷う方も少なくありません。この記事では、エンディングノートの基本的な知識、具体的な書き方、そして記載すべき項目一覧まで解説します。エンディングノートの作成にお役に立てれば幸いです。
エンディングノートとは
エンディングノートの目的と役割
エンディングノートとは、残された家族に自分の意思や重要な情報を伝え、死後の手続きなどの負担を軽減することを目的とした「備忘録」や「メッセージノート」です。
遺言書のように堅苦しい形式はなく、市販の専用ノートはもちろん、大学ノートやメモ帳に書き記すなど、自分の思うまま自由なスタイルで作成できるのが特徴です。病気や老化で判断力が低下した場合や、突然この世を去ってしまった場合に備え、家族を助けるための大切なツールとなります。
遺言書との決定的な違いは「法的効力」
エンディングノートと遺言書の最大の違いは、「法的効力の有無」です。この点を混同すると、かえって家族を混乱させてしまう可能性があるため、正しく理解しておくことが重要です。
- エンディングノート: 法的効力はなく、あくまで家族への希望や情報を伝えるものです。
- 遺言書: 民法で定められた形式で作成され、財産分与などに関する法的な効力を持ちます。
例えば、エンディングノートに「自宅不動産と金融資産のすべてを妻に相続させる。長男と長女には相続させない」と書いたとします。しかし、この内容には法的効力がないため、長男と長女が納得しなければ、法定相続分(この場合、妻1/2、長男1/4、長女1/4)に従って遺産分割協議を行うことになってしまいます。
このように、財産分与に関する確実な意思を残したい場合は、エンディングノートとは別に、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。なお、法的に有効な遺言書があったとしても、子どもなど一部の相続人には「遺留分」という最低限の遺産を受け取る権利が保障されていますが、それでも遺言書は故人の意思を最大限反映させるために不可欠です。
エンディングノートを書くメリット
エンディングノートを作成することには、残される家族のためだけでなく、自分自身にとっても多くのメリットがあります。
- 家族の負担を軽減できる
亡くなった後の役所手続きや葬儀の準備、財産の整理など、家族が判断に迷うことが少なくなります。これにより、精神的・物理的な負担を大幅に減らすことができます。 - 自分の想いを確実に伝えられる
普段は照れくさくて言えない家族への感謝の気持ちや、これまでの人生の思い出などを形として残せます。あなたの想いは、残された家族にとって最高の宝物となるでしょう。 - 自分の人生を振り返るきっかけになる
これまでの人生を時系列で整理し、自分史をまとめることで、過去の自分を見つめ直す良い機会になります。そして、これからの人生をどう生きたいか、前向きに考えるきっかけにもなります。 - 自分自身の備忘録として役立つ
預金口座や保険、スマートフォンのパスワードなど、自分しか知らない情報を整理しておくことで、日常生活における「備忘録」としても非常に役立ちます。 - 相続トラブルの予防につながる
財産リストや、誰にいついくら贈与したかといった記録を残しておくことで、相続人間の誤解や不公平感をなくし、争いを防ぐ一助となります。
エンディングノートに書くべき項目一覧
ここからは、エンディングノートに具体的に記載すべき項目をカテゴリー別に紹介します。すべてを一度に埋める必要はありませんので、書きやすいところから手をつけてみましょう。
自分自身の基本情報
各種手続きに不可欠な、あなた自身の基本的な情報をまとめます。
- 氏名、生年月日、現住所、本籍地
- 血液型
- 健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードなどの番号と保管場所
- 自分史(学歴、職歴、結婚、大切な思い出など)
財産・資産に関する情報
相続手続きや死後の整理で家族が最も助かるのが、財産に関する情報です。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も正確に記載しましょう。
- 預貯金: 金融機関名、支店名、口座番号(ネットバンクも忘れずに)
- 有価証券: 証券会社名、口座番号(ネット証券も含む)
- 保険: 生命保険、医療保険などの保険会社名、証券番号、受取人
- 年金: 年金手帳の保管場所、基礎年金番号
- 不動産: 自宅や土地の所在地の情報、権利書の保管場所
- ローン・借入金: 住宅ローンや借入金の借入先、残高などのマイナスの財産情報
- その他: 貸金庫の場所と鍵のありか、価値のあるコレクション(絵画、骨董品など)、タンス預金の場所と金額
【補足】追記・お金に関する重要情報
- 不動産の購入費用がわかる契約書
相続した不動産を将来家族が売却する際、購入時の売買契約書の有無で、売却時にかかる税金(譲渡所得税)が数百万円、場合によってはそれ以上変わることがあります。例えば、6,000万円で購入した不動産を相続した家族が5,000万円で売却する場合、契約書があれば取得費が6,000万円となり、売却益が出ないため譲渡所得税はかかりません。しかし契約書がないと、法律上、売却額の5%(この場合は250万円)しか取得費として認められず、差額の4,750万円に対して高額な税金が課されてしまうのです。契約書の保管場所は必ず明記してください。 - 名義預金
妻や子の名義で作成した口座でも、その資金源があなたであり、通帳や印鑑をあなたが管理している場合、税務署は「名義預金」としてあなたの相続財産と見なします。これを申告しないと「申告漏れ」を指摘され、追加の税金(過少申告加算税や延滞税)が課されるリスクがあります。正直に記載しておくことが、家族を税務調査のトラブルから守ることにつながります。 - 価値のあるコレクション:
趣味の骨董品や絵画などは、その価値を知らない家族から見れば「古いがらくた」に見えてしまうことがあります。価値を正しく伝えなければ、誤って捨てられたり、二束三文で売却されたりする恐れがあります。コレクションの価値や購入時の情報も書き残しておきましょう。
医療・介護に関する希望
認知症や病気などで自分の意思を伝えられなくなった場合に備え、医療や介護に関する希望を明確に記しておくことは、家族の精神的な負担を大きく軽減します。
- かかりつけの病院、医師名
- 持病、アレルギー、常備薬の情報
- 病名や余命の告知に関する希望(例:本人に伝えてほしい)
- 延命治療に関する希望(希望する・しない)
- 臓器提供や献体の意思
葬儀・お墓に関する希望
突然の不幸があった際、家族が葬儀の準備で困らないように、具体的な希望を記しておきましょう。
- 葬儀の形式や規模(例:家族葬、一般葬、直葬)
- 喪主になってほしい人
- 遺影に使ってほしい写真の場所
- 葬儀に参列してほしい人の連絡先リスト
- お墓の場所や納骨方法(樹木葬、海洋散骨など)に関する希望
デジタル情報(デジタル遺産)
現代において忘れがちなのが、スマートフォンやパソコンの中にある「デジタル遺産」の整理です。
- スマートフォンやパソコンのログイン情報(ID、パスワード)
- 利用しているウェブサイトやSNSのアカウント情報
- 月額課金しているサブスクリプションサービス
パスワードを直接書き記すのはセキュリティ上のリスクがあるため、「〇〇の誕生日」のように家族だけがわかるヒントを残すなどの工夫をするとよいでしょう。
連絡先リストと人間関係
あなたの訃報を誰に伝えてほしいか、友人・知人の連絡先をリスト化しておくと、家族が非常に助かります。
また、ご家族が把握していない親族関係がある場合は、後のトラブルを避けるために必ず書き残してください。例えば、父親(一徹さん)に離婚歴があり、前妻との間に子(小春さん)がいるケースを考えてみましょう。小春さんも法的な相続人です。もしご家族がその存在を知らずに、小春さんを抜きにして遺産分割協議を行った場合、その協議は法的に「無効」となってしまいます。このような事態を避けるためにも、複雑な親族関係がある場合は、その関係図や連絡先を明確に記載しておくことが極めて重要です。
ペットに関する情報
大切なペットを飼っている場合は、万が一のときに備えて以下の情報を残しておきましょう。
- ペットの名前、種類、年齢、性別、健康状態
- かかりつけの動物病院の連絡先
- 世話を引き継いでほしい人の連絡先と、その人への依頼
家族や大切な人へのメッセージ
エンディングノートは、事務的な情報を伝えるだけでなく、普段は言えない感謝の気持ちや愛情を伝える最後の機会にもなります。あなた自身の言葉で、大切な人へのメッセージを自由に書き残しましょう。このメッセージが、残された家族の心の支えとなるはずです。
エンディングノートの書き方のコツと注意点
最後に、エンディングノートをスムーズに作成し、適切に保管するためのコツと注意点を解説します。
いつから、どうやって書くか
エンディングノートを書き始める時期に決まりはありません。「思い立ったが吉日」です。心身ともに元気なうちから、少しずつ準備を始めましょう。
- 書きやすい項目から始める: まずは自分の氏名や生年月日など、考えずに書ける基本情報から手をつけると、スムーズに進められます。
- 完璧を目指さない: 全ての項目を一度に埋めようとせず、空欄があっても気にせず、時間をかけて少しずつ書き足していく気持ちで取り組みましょう。
- 定期的に見直す: 財産状況や人間関係は変化するものです。誕生日や年末年始など、年に一度は内容を見直し、情報を最新の状態に更新することをおすすめします。
入手方法
エンディングノートは様々な方法で入手できます。
- 書店、文房具店、100円均一ショップ
- インターネット通販(例:コクヨの「もしもの時に役立つノート」など、専門家が監修したものも多くあります)
- 自治体やNPO法人が配布している無料のテンプレートをダウンロード
- PCソフトやスマートフォンのアプリ
自分にとって使いやすい形式のものを選びましょう。
保管場所の注意点
エンディングノートの保管には、特に注意が必要です。
- 厳重に保管する 銀行口座やパスワードなどの重要な個人情報が含まれるため、第三者の目に触れないよう、鍵付きの引き出しなどで厳重に保管してください。ただし、銀行の貸金庫は本人の死後、相続手続きが完了するまで開けられないため、保管場所としては不適切です。
- 家族に存在と場所を伝えておく これが最も重要な点です。せっかく心を込めて書いても、家族に見つけてもらえなければ意味がありません。信頼できる家族(一人で構いません)に、エンディングノートの存在とその保管場所を必ず伝えておきましょう。
まとめ
エンディングノートは、万が一のときに残される家族の負担を大きく減らす、思いやりのこもった贈り物です。同時に、これまでの人生を振り返り、これからの生き方を見つめ直すことで、自分自身の人生をより豊かにするためのツールでもあります。
完璧を目指す必要はありません。まずは気軽にペンを取り、書きやすい項目から始めてみませんか。その一歩が、あなたとあなたの大切な家族の未来にとって、大きな安心につながるはずです。


