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寄与分(きよぶん)

目次
寄与分とは
寄与分の基本概念
寄与分とは、「被相続人の財産の維持または増加に特別な貢献をした相続人が、その貢献度に応じて法定相続分に上乗せして財産を取得できる制度」です。
寄与分が認められるための5つの必須要件
寄与分が認められるためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。どれか一つでも欠けていると、原則として認められません。
- 相続人の寄与であること
貢献したのが、遺産を相続する権利を持つ「相続人」でなければなりません。 - 特別の寄与であること
親子や夫婦間の扶養義務など、家族として「通常期待される範囲」を超える特別な貢献である必要があります。 - 無償(またはそれに近い)で行われたこと
貢献に対して、給料などの十分な対価を受け取っていないことが求められます。 - 財産の維持・増加との間に因果関係があること
その貢献によって、被相続人の財産が「減るのを防いだ」または「実際に増えた」という直接的な関係が必要です。 - 相続開始時(被相続人が亡くなる時)までの寄与であること
貢献が行われたのが、被相続人が亡くなるよりも前の期間である必要があります。
寄与分が認められる5つの典型パターン
| パターン名 | 内容の要約 | 具体例 |
|---|---|---|
| 家業従事型 | 被相続人の事業を無償または非常に低い給与で手伝った。 | 親の農業を無給で長年手伝い、財産の維持に貢献した。 |
| 金銭等出資型 | 被相続人の不動産購入や借金返済のために金銭を援助した。 | 親が自宅を購入する際に、子が高収入の中から頭金を出した。 |
| 療養看護型 | 職業的なヘルパーなどを雇わずに、相続人が重い要介護状態の被相続人を介護した。 | 仕事を辞めて要介護認定を受けた親を自宅で介護し、本来かかるはずだった介護費用を節約させた。(注意:入院中の世話は原則として対象外) |
| 扶養型 | 親族間の扶養義務を超えて、生活費などを援助し続けた。 | 親の年金だけでは生活が苦しいため、子が毎月仕送りを続け、親の預貯金が減るのを防いだ。 |
| 財産管理型 | 被相続人が持つ不動産の管理や売却手続きなどを無償で行った。 | 親の賃貸アパートの管理を全面的に行い、自費でリフォームを行ったり、立ち退き交渉を代行したりして収益を維持・向上させた。 |
寄与分の主張は難しい
寄与分は正当な権利ですが、実際に認められるのは簡単ではありません。その主な理由は以下の3つです。
- 「特別の寄与」のハードルが高い
親子間の助け合いは法律上「扶養義務」の範囲と見なされやすく、「食事の世話」や「病院への送迎」といった行為だけでは「通常期待される範囲」と判断され、寄与分とは認められないケースが多くあります。 - 証拠資料を揃えにくい
貢献を客観的に証明するための資料(介護日記、金銭の送金記録、業務日誌など)がないと、他の相続人や裁判所を説得することが困難です。 - 他の相続人との感情的な対立を招きやすい
一人の相続人が「自分だけ多くもらう」と主張するため、他の相続人から反発を受けやすく、話し合いが「やった」「やらない」の水掛け論になりがちです。
特別寄与料とは
2019年の民法改正で、相続人ではない人の貢献に報いるための「特別寄与料」という制度が新設されました。これにより、「寄与分」との役割分担が明確になりました。
典型的な例は、「長男の妻が、義父の介護を献身的に行っていた」というケースです。彼女は相続人ではないため、以前はどれだけ貢献しても法的に何も請求できませんでした。しかし、この制度ができたことで、彼女のような立場の人も、相続人に対して貢献に見合った金銭(特別寄与料)を請求できるようになりました。
「寄与分」と「特別寄与料」の比較
| 比較項目 | 寄与分 | 特別寄与料 |
| 請求できる人 | 相続人のみ | 相続人以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族) |
| 対象となる貢献 | 5つのパターン(家業、金銭出資、療養看護など) | 労務の提供(療養看護、家業従事)に限定され、金銭出資などは対象外 |
| 請求の相手 | 他の相続人(遺産分割協議の中で主張) | 相続人全員(金銭の支払いを直接請求) |
| 請求できる期間 | 相続開始から10年が原則 | 相続開始と相続人を知ってから6ヶ月、または相続開始から1年という非常に短い期間 |
まとめ:知っておくべきポイント
初心者が知っておくべきポイントをまとめました。
- 寄与分は「特別な貢献」にのみ認められる
親子間の扶養義務の範囲内と見なされる行為(日常的な世話など)は、寄与分として認められにくいことを覚えておきましょう。「家族でも普通そこまでしない」と言えるレベルの貢献が必要です。 - 相続人以外は「特別寄与料」
貢献したのが相続人ではない親族(例:子の配偶者)の場合、主張できるのは「寄与分」ではなく「特別寄与料」です。対象となる行為や請求期間が大きく異なるため、注意が必要です。 - 証拠の記録と早めの相談が重要
寄与分を主張するには、介護日記、金銭の移動記録、業務日誌といった客観的な証拠が不可欠です。日頃から記録を残しておくことが重要です。また、寄与分は他の相続人とのトラブルに発展しやすいため、主張を検討する際は、早い段階で弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。


