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連絡の取れない相続人がいる場合の手続きと対策ガイド

相続手続きを進めたいのに、連絡の取れない相続人がいる——そんなお悩みを抱えていませんか?
相続人の中に音信不通の方がいる場合でも、その人を除いて手続きを行うことはできません。無理に進めてしまうと、手続きが無効になったり、後々トラブルに発展する可能性があります。
本記事では、相続人と連絡が取れない場合の基本的な考え方から、戸籍の附票による住所の調査方法、不在者財産管理人の選任、失踪宣告の活用など、具体的な対応策をわかりやすく解説します。
相続を放置するリスクや、登記されていない不動産がもたらす問題についても詳しく触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
相続人と連絡が取れないときの基本対応
相続人が不明・音信不通でも除外できない理由
相続人の中に連絡が取れない方がいても、その人を除いて遺産分割手続きを進めることはできません。
なぜなら、相続は民法で定められた権利であり、法定相続人全員の合意がなければ、遺産分割協議が無効となってしまうからです。
たとえ遠方に住んでいて音信不通であっても、法律上の相続権は変わりません。そのため、できる限り住所や連絡先を調べ、連絡を取る努力が求められます。
相続人全員が関与しない手続きは、後にトラブルに発展するリスクが高く、慎重な対応が必要です。
感情的な対立があっても相続手続きは必須
相続人同士で過去にトラブルがあり、感情的に連絡を取りたくないというケースも少なくありません。
しかし、感情的な理由で連絡を断ち、相続手続きを止めると、遺産の凍結状態が続き、不利益を被ることになります。
相続は法律上の義務でもあるため、感情を抑えてでも連絡を取るか、相続手続きを断念するかの判断が求められます。
場合によっては、専門家に間に入ってもらうことで、円滑な対応が可能になります。
相続人の住所がわからない場合の調査方法
戸籍の附票で住所を確認する方法
相続人の住所が不明な場合は、「戸籍の附票」を確認することで、住民票上の住所を特定できます。
戸籍謄本には本籍地のみが記載されており、現住所は記載されていません。一方、戸籍の附票には、住民登録上の住所履歴が記載されています。
本籍地のある市区町村役場に戸籍の附票を請求すれば、その方の住所を確認することが可能です。
この方法により、音信不通の相続人の所在を特定できる可能性があります。
住所判明後の訪問・手紙による連絡手段
戸籍の附票で住所が確認できた場合は、直接訪問したり、手紙を送ったりして連絡を試みる方法が一般的です。
電話番号やメールアドレスがわからなくても、手紙は届く可能性が高く、相手に不快感を与えず連絡が取れる手段として有効です。
手紙には、相続に関する事情や連絡を取りたい旨を丁寧に記載し、返信用封筒を同封することで返答率が上がります。
直接訪問する際は、突然の訪問が相手に不快感を与える可能性があるため、事前に手紙で通知することが望ましいです。
住民票住所にいないときの法的対応
法律上の「行方不明者」とされるケース
住民票上の住所にその人が居住していない場合、法律上は「行方不明者」として扱われます。
引っ越し後に住民票を移していない、または本当に所在が不明なケースが含まれます。
行方不明者が相続人に含まれる場合、通常の方法では遺産分割が進められないため、家庭裁判所を通じた特別な手続きが必要となります。
このような状況では、法律に従い適切な対応を取ることが大切です。
家庭裁判所で取るべき具体的な手続き
行方不明者がいる場合、家庭裁判所に申し立てをして「不在者財産管理人」の選任や「失踪宣告」を行う必要があります。
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を代理で管理し、相続手続きに参加します。
また、7年以上連絡がない場合は「失踪宣告」を申立てることで、法的に死亡したとみなすことができます。
これらの手続きには時間や費用がかかるため、早めの準備と判断が重要です。
不在者財産管理人による遺産分割の流れ
不在者財産管理人とは何か
不在者財産管理人とは、行方不明となった相続人の財産を保護し、代理人として遺産分割協議に参加する人物です。
通常は家庭裁判所が弁護士を選任し、相続財産の管理や手続きに関与します。
これにより、行方不明者の法定相続分を保護しながら、他の相続人が遺産分割を進めることが可能になります。
この制度は、相続全体のバランスを保つ上で非常に重要です。
申立ての手続きと選任後の対応
不在者財産管理人の選任を希望する場合は、行方不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。
申し立てには戸籍謄本、戸籍の附票、申立書などの書類が必要で、手続きには数週間から数か月を要します。
選任された管理人は、遺産分割協議書に署名するなどの役割を担い、相続人としての代理権を持ちます。
ただし、この過程には弁護士報酬などの費用が発生するため、事前に見積もりを確認しておくことが望ましいです。
管理人が関与する相続の注意点と費用
不在者財産管理人が参加する遺産分割は、裁判所の監督下で行われます。
管理人は、行方不明者の権利を守る立場にあるため、無償での名義変更などは認められません。
たとえば、自宅を他の相続人が取得する場合は、法定相続分に見合う代償金を支払う必要があります。
また、選任から解任までの期間にかかる報酬や手続き費用も考慮して、相続人全員で合意形成を図ることが大切です。
失踪宣告で死亡とみなすための条件
失踪宣告の法的意味と申し立て要件
失踪宣告とは、行方不明者が7年以上連絡を絶っており、生死不明の状態が続いている場合に、その人を法律上「死亡した」とみなす制度です。
これにより、他の相続人は遺産分割を進めることが可能になります。
申し立ては、行方不明者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
法的に重大な意味を持つ制度であるため、慎重な判断が求められます。
利用時の注意点と家族間での検討事項
失踪宣告を申し立てる際は、行方不明者が本当に死亡したとみなして良いのか、慎重な検討が必要です。
一度宣告が認められると、相続関係が大きく変化するため、家族全体での合意が重要です。
また、失踪宣告が後に覆される可能性もあるため、専門家への相談を通じて適切な判断を行いましょう。
費用や手間がかかるため、申立てを行う際は長期的な視点が必要です。
相続手続きを放置したときのリスク
凍結された預貯金や名義変更されない不動産
相続手続きを放置すると、預貯金は凍結され、引き出すことができません。
また、不動産の名義も故人のままとなり、売却や賃貸などの処分ができなくなります。
名義変更がされないまま時間が経つと、相続人が増えて手続きがさらに煩雑になることもあります。
このような状況を避けるためにも、早めの対応が求められます。
相続放置による社会問題化の現状
実際に日本全国で、相続手続きが放置されているケースが数多く存在しています。
こうした遺産の多くは、凍結されたまま金融機関に保管されたり、空き家や放置不動産となって地域の問題となることがあります。
行政も対応に苦慮しており、相続放置は今後さらに深刻な社会問題となると考えられています。
相続を適切に処理することは、個人の問題にとどまらず、社会全体への責任でもあります。
相続登記されていない不動産のリスクと対策
売却・賃貸には登記が必須な理由
相続した不動産の名義を変更していないと、その不動産を売却したり、貸し出すことができません。
不動産登記は、所有権を第三者に主張するための重要な手続きです。
未登記のまま放置すると、後々の相続手続きが複雑になり、所有権の主張が困難になる恐れもあります。
早めに登記を済ませることで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
相続土地国庫帰属制度で所有権を手放す方法
不要な土地を相続した場合、「相続土地国庫帰属制度」を利用して、所有権を国に引き渡すことが可能です。
この制度は、一定の条件を満たすことで利用でき、維持費や管理の負担から解放されます。
たとえば、他人の権利が設定されていない、境界が明確であるなどが要件となります。
土地の管理に困っている方には、有効な選択肢のひとつです。
放棄できる土地の条件と費用について
相続土地国庫帰属制度を利用するには、一定の条件をクリアし、申請時に負担金を納付する必要があります。
負担金は原則として10万円で、審査の結果次第では利用できない場合もあります。
制度を利用する際は、費用対効果をよく考慮し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
土地を相続しても使い道がない場合、早めに検討することで無駄なコストを抑えることができます。
まとめ
相続人と連絡が取れないケースや、行方不明者がいる場合の相続手続きは、法律的な知識や専門的な対応が求められます。放置してしまうと預貯金の凍結や不動産の売却ができないなど、将来的に大きな問題へと発展するおそれもあります。
こうした複雑な相続の問題は、ご自身だけで対応しようとせず、早い段階で専門家に相談することが重要です。行政書士は、戸籍の調査や相続関係の整理、など相続全般にわたる幅広いサポートが可能です。
相続でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。円滑で安心な相続のために、私たちがお手伝いいたします。