自筆証書遺言保管制度

長谷川 亮又
行政書士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・不動産会社代表
1969年生まれ、AB型。学生時代に宅地建物取引士を取得。事業用不動産仲介を経て、家業にて地域密着型の実務を経験。平成17年に空間計画エステート有限会社を設立し、不動産仲介から管理まで一貫したサービスを提供。令和5年に行政書士登録。「不動産×法務」の両面から、専門性の高いトータルサポートを実践しています。
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自筆証書遺言保管制度とは

自筆証書遺言保管制度とは、自分で書いた遺言書を法務局で預かってもらえる制度です。
2020年7月から始まった制度で、正式には「自筆証書遺言書保管制度」と呼ばれます。

自筆証書遺言は、紙とペンがあれば作成できるため手軽です。
しかし、自宅保管では「紛失した」「見つからない」「勝手に処分された」といったトラブルが起こることがあります。そこで利用されるのが、この保管制度です。
作成した遺言書を法務局に預けることで、安全に保管できます。また、通常の自筆証書遺言では、亡くなった後に「検認」という家庭裁判所の手続きが必要です。
しかし、保管制度を利用した遺言書は検認が不要になります。そのため、相続手続きをスムーズに進めやすい点も大きなメリットです。近年では、高齢化や相続トラブルへの不安から、「公正証書遺言」と並んで注目されている制度です。

どのような場面で重要?

この制度は、特に「遺言書を確実に残したい場面」で重要になります。
たとえば、一人暮らしの高齢者の場合です。
自宅で保管していた遺言書が、亡くなった後に誰にも見つからないケースがあります。
また、相続人同士の関係が悪い場合も注意が必要です。
特定の相続人に不利な内容の遺言書が、自宅保管中に隠されたり破棄されたりするトラブルもあります。
さらに、不動産の相続や相続人が多いケースでは、遺言書の有無が大きな問題になります。
遺言書が見つからないと、遺産分割協議がまとまらず、相続手続きが長期化することもあります。
その点、法務局で保管されていれば、遺言書の存在を確認しやすくなります。
相続人への通知制度もあるため、遺言書の発見漏れを防ぎやすい点も特徴です。

注意点

自筆証書遺言保管制度には、いくつか注意点があります。

まず、法務局は「内容の有効性」までは確認してくれません。
形式面のチェックはありますが、「内容に問題がないか」までは判断されません。

たとえば、「財産の書き方が曖昧」「相続人の記載ミスがある」といった場合でも、そのまま保管されることがあります。

また、遺言書は本人が法務局へ出向いて申請する必要があります。
代理人だけで手続きすることはできません。

さらに、「法務局に預ければ絶対に安心」と誤解されることもあります。
しかし、内容に不備があれば、相続時に争いになる可能性は残ります。

相続人が多い場合や不動産が複数ある場合は、専門家へ相談しながら作成することも大切です。

まとめ

自筆証書遺言保管制度は、自分で作成した遺言書を安全に保管できる制度です。
紛失や改ざんのリスクを減らせる点が大きなメリットです。

また、家庭裁判所の検認が不要になるため、相続手続きを進めやすくなる特徴もあります。

一方で、法務局は遺言内容の法的な有効性までは保証してくれません。
内容の書き方によっては、相続トラブルにつながる可能性もあります。

そのため、「保管」と「内容の正確さ」は別問題として考えることが重要です。

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